川島⾷品株式会社 釧路⼯場特設サイト

工場開設の軌跡History

RECENT YEARS

今の本社が出来る前は、現在の第二工場がある位置に本社がありました。

旧本社と現在の本社(左2 枚)現在の第⼆⼯場がある位置にあった旧本社およびビーフセンター、(右)現在の本社

2009年度に年商が20億円を超え、それまでの本社やビーフセンターでは明らかに手狭と感じていていた2011年に本社を近所に移転する計画をスタートさせます。弊社が創立65周年を迎える2014年に竣工し、「心機一転、一生懸命頑張っていかないとね。」と話をしていました。新しい本社ビルが完成し、忙しくなっていましたが、本社ビルが完成した2015年度に年商が42億を超えていきます。

その後もお客様に支えられ年商50億円も視野に入ってきた2015年秋、旧本社とビーフセンターをどう活用するかの議論が始まりました。その後の検討で、これまでの食肉をカットするといった、いわゆるお肉屋さんの機能にプラスさせて、食肉製品や食肉加工品を作ることが出来るエリアを設けてみようという内容がきまりました。私たちが作るこれらの製品は世にあふれたソーセージやハム、ベーコンではありません。手軽に入手できるソーセージやハム、ベーコンは、大手メーカーに任せておくので十分でした。大手メーカーが長年かけて作り上げたものを私たちが真似できるはずがありません。私たちのお客様が私たちの望んでいるものは何だろうか、向き合って考えていきます。私たちが日頃競合している食肉卸ではやっていなくて、飲食店の助けになる可能性がある製品は、既製品感がなく自家製感のでる食肉製品や食肉加工品を作りお届けすることでした。

2018年7月に第二工場が旧本社のあった場所に完成し、
これまでやってこなかった食肉製品を作ることをスタートさせます。

第二工場第二工場

第⼆⼯場で新たに対応した業務の中で本当に良かったと思うことは、⼩ロットでお客様専⽤の製品を作れるOEM 対応を可能にしたことで、オリジナリティを出したいお客様の希望に柔軟に対応できる体制は順調に受注を伸ばしていっています。
併せて、自社の品質管理室を設け、専任のスタッフを配置し、品質を担保することにしっかりと取り組んでいける環境を作ることができました。また、かねてから販促ツール等を自社内で制作できる環境を作りたいと考えていたことからデザイナーを採用、さらにオンラインショップもチャレンジできればと思い対応できるスタッフを採用することになります。

川島食品株式会社
創立70周年 記念懇親会

創立70周年記念懇親会の様子(乾杯・社長あいさつ・ビンゴ大会・マジックショー)

第二工場完成の翌年、2019年7月に70周年を迎え、70年という節目を従業員とその家族で祝い、これからも着実に歩みを進めていく決意を新たにします。
その後、2020年にコロナ禍という厳しい現実と向き合っていくこととなります。

釧路市の航空写真 釧路市の航空写真

REASON

75周年事業の検討開始はさかのぼること2020年12月。コロナ禍もあり、あまり忙しくない12月に危機感を抱き、このまま飲食店中心の事業を行っていてもよいのか、最終消費者にお届けする事業もやった方がよいのではないかと迷いの中におりました。そうはいっても、全くやったことのないところに足を踏み入れることは出来ないので、強みを生かせる分野であることは条件でした。
強みが生かせるというのは、お肉をさばくこと、食肉製品や食肉加工品を製造することです。これを生かすことができる事業であることは外せないポイントです。もう一点、私たちがかねてから力を入れたいと思っているのがジビエの処理環境の改善対策です。海外の食肉工場や国内の食肉工場を視察してきて、ジビエの解体現場を見て思うのはその衛生管理水準を向上させる必要があるということです。ジビエの解体現場同士で比較するとよい衛生管理であっても、家畜を扱う現場と比較してしまうと、どうしても改善が必要と感じてしまいます。食の安全に対する意識は年々高まり、衛生に関する要求事項も増え、要求水準も高度になってきて、ハンターさんにもそれに合わせて対応頂いていますが、ハード面での改修となるとどうしても限界があります。
弊社にはないハンターさんのノウハウと、長年食肉を取り扱ってきた弊社のノウハウを合わせることで、今のジビエの処理環境を大きく改善できることは明白でしたから、75周年事業で建てる新工場では、「私たちの強みを生かせる分野の強化」と「ジビエの加工環境の衛生管理水準を高めること」を柱に検討をしていくこととなりました。
2021年夏頃、投資する金額が大きく財務負担も大きくなるため、時代はファブレス経営ですというようなアドバイスを頂くこともありましたが、2つの柱を実現するためには自社工場でしか成し得ないということで、強い意志で自社工場を持つという判断をします。

自社工場を建てると決めても場所がなければ計画を進めることができないため、土地探しも行わなければなりません。
一般的に手に入る牛肉や豚肉、鶏肉には「旬」が存在しません。今は新ジャガの季節だから、今はサンマの季節だからというのがないのが一般的な食肉です。そのような食肉業界の中でも、ジビエにおいては事情が異なります。今でこそ農作物被害を減らすために猟期以外にも有害駆除でハンティングされて通年流通されるようになってきていますが、一般的には、野生の鳥獣が冬に備えて体に栄養を蓄える秋がジビエの旬と広く認知されています。私たちのお客様においては、秋から冬にかけたメニューにジビエを採用されるケースが多くなっています。お肉料理で旬を表現できる唯一の食材であるジビエはシーズンになると問い合わせが増えてきます。
衛生管理をより細かく行う体制が築ければ、高度な品質管理体制が整っていない等の理由から、これまでジビエを使用出来ない企業様でもジビエを使用できる可能性が高まることから、私たちは、衛生管理水準を家畜を取り扱う現場と同等にもっていくことが必要になってくると考えています。ジビエの中でも弊社の取扱量が多いのはエゾシカのお肉であることから、エゾシカの生息地である北海道に照準を絞って事業地を定めていくこととなります。

前述の「私たちの強みを生かせる分野の強化」と「ジビエの加工環境の衛生管理水準を高めること」ができる事業地はどこか検討していくと、重要となっていくのは、ハンターさんとつながりがある道東エリアであることでした。
エゾシカのお肉を扱う会社は道内に何件もございますが、品質のいいエゾシカのお肉を分けて頂いているハンターさんや会社はそう多くありません。弊社が長年お世話になっている腕利きのハンターさんのメインの活動地がお隣の白糠町でしたので、構想をスタートさせた時は、白糠町に近い地域に工場を建ててもよい都市計画区域はあるかという条件で土地を探し始めました。私たちが作りたい製品を作るための工場は、どこでも建てられるわけではなく、用途地域として工業専用地域や工業地域、準工業地域と定められた都市計画区域から探すしかありません。そのため、釧白工業団地に隣接する土地や西港臨海工業団地、釧路益浦軽工業団地に絞って検討することになりました。限られた予算の中で、建物や生産設備に最大限の予算をかけることが出来る土地というのは釧路益浦軽工業団地に限られ、土地を取得するにいたります。

釧路市益浦の事業地は、浜中や根室、中標津、標茶からのアクセスも考えると距離のバランスが取れていて、今後の展望を見据えて考えても非常によい立地であることが用地取得の後押しとなっています。
地盤のよさを含めた様々な理由から今回の建築予定地を選択しましたが、住宅地が近いため、法令を遵守し、行政の指導に従い、然るべき対策を施した工場として計画を進めております。
事業地を取得すると同時に、どの会社様に設計建築をお願いするかも検討しなければいけません。
なるべく釧路市に根ざした設計および施工会社様でと考え、声掛けの時期から考えるとおよそ10ヶ月かけ十分な検討をして頂きましたが、食品工場の特殊性等から最後まで進めることはできず、大変申し訳ない結果となってしまいました。
最終的には設計および施工会社は大和ハウス工業様に発注をしておりますが、間接的に釧路市の事業者の皆様にお力添えをお願いすることで、釧路市をもり立てることができればと考えております。

楽しそうに食事をする家族のイメージ写真 楽しそうに食事をする家族のイメージ写真

VALUES

私たちは、おいしいものを食べると自然と笑顔になると思っています。たとえ、笑顔にならなくても、嬉しさやワクワクする気持ちになると考えています。私たちが釧路工場で作る食肉製品はハンバーグやソーセージ、ベーコン、パテドカンパーニュ、コンフィなどの製品になります。市場にありふれている製品ですが、そのような市場の中では少数派のこだわった製品を作っていきます。どのようにこだわるかはコンセプトによって変わってきます。なるべく添加物を使わないのか、生産地や生産者の顔が見えるのか、調理方法にこだわるのか、特別な日に食べる逸品に仕上げるのか、子供のお弁当に入れてもよい商品に仕上げるのか、こだわりはどのような切り口から見るかで変わってきます。私たちだから出来ることを考え、実際に製品を製造し、発信していけるような環境づくりを進めて行く所存です。

私たちは、⽇頃より、正直でまっすぐな商売を⼼がけています。「当たり前のことを当たり前に」⾏うことでお取引を拡⼤させてこられています。

釧路工場で製造・加工する製品の一部は、私たちのこれまでの事業と同様の業務向けで流通させますが、新たに最終消費者をターゲットにする製品も製造する工場になります。また、しっかりとした衛生管理のもとで処理されたエゾシカのお肉を全国に届けることができるようになります。

食肉加工品を作ってきた日はまだまだ浅いですが、長くやってこられた会社にもそのような時期はあり、社歴を重ねていって今があります。食肉のプロとして74年の歴史がある弊社に蓄積されてきたノウハウを最大限生かし、これからお世話になる方々と二人三脚で歩みを進めて、これからの歴史を作っていくことができたらと願っております。